当科では、常に地域に密着した医療を心がけています。
一般的な外傷の処置はもちろん、腹部の手術、癌化学療法、緩和ケアに至るまで幅広く対応しています。鼠径ヘルニアや胆石症などの良性疾患に加えて、胃癌・大腸癌などの悪性疾患に対する手術も積極的に行っています。その他、虫垂炎や消化管穿孔などの急性腹症にも随時対応しています。
より専門的な手術が必要になる場合は、近隣の大学病院などに紹介いたします。
主な症例
鼠径ヘルニア修復術
「鼠径(そけい)」とは足の付け根の部分で、「ヘルニア」とは体の臓器が正しい位置から逸脱した状態をさします。すなわち「鼠径ヘルニア」とは、本来ならお腹の中にあるはずの腸や腹膜の一部が、鼠径部の筋膜の間から皮膚の下に飛び出してしまう病気で、治療には手術が必要となります。成人の場合、以前は筋膜同士を縫い合わせて穴を塞いでいましたが、手術後の痛みや突っ張りを感じることが多く、時に再発もみられました。現在では、筋膜のすき間の弱くなった部分に、メッシュ状に編まれた人工シートを挿入し、腹圧に耐えられる壁を作り補強する方法が主流です。メッシュシートを用いる手術方法は2つに大別され、当院では筋膜間の脆弱部を上から被う方法 (リヒテンシュタイン法)と、下から補強する方法 (ダイレクトクーゲル法)を採用しています。症例により双方を使い分けています。
基本的には手術の前日に入院して頂き、順調ならば術後1週間ほどで退院となりますが、経過によっては早期退院が可能な場合もございます。
腹腔鏡下胆嚢摘出手術
肝臓では、胆汁と呼ばれる消化液が作られ、胆管を経由して十二指腸へ排出されます。胆嚢は、胆管と十二指腸の間に存在する袋状の臓器です。胆嚢は、肝臓で作られた胆汁を蓄えて濃縮させてから排出することで、脂肪の吸収を助けています。
胆石症とは、胆嚢や胆管にできる結石によって引き起こされる病気です。胆石症の主な症状は、発熱・上腹部痛・吐気・黄疸などです。胆石が胆管に詰まり胆汁の流れが滞ると、急性炎症を起こし敗血症などの重篤な状態に陥ることがあります。これまで、消化器疾患に対する腹部手術は、腹部を大きく切開する開腹手術が一般的でした。現在、胆石症などの胆嚢良性疾患に対しては、腹腔鏡下胆嚢摘出術が標準治療となっています。
腹腔鏡下手術では、腹部に開けた小さな穴から細い筒を腹腔内に差し込みます。腹腔鏡と呼ばれるカメラを腹腔内に挿入し、炭酸ガスを注入して空間を膨らませ、テレビモニターに腹腔内の様子を映し出します。この様子を全員で確認しながら手術を行います。腹腔鏡下手術は、手術の傷が小さく、術後の痛みが少ないため、早期の社会復帰が可能です。基本的には手術の前日に入院して頂き、順調ならば術後1週間ほどで退院となりますが、経過によっては早期退院が可能な場合もございます。