骨・筋・神経などの運動器の治療、痛風・関節リウマチの治療を中心に行っています。同じ疾患でも患者さまによってゴール、目標は異なります。
より快適な日常生活を送ることを目標とし、できるだけ希望に添った生活ができるよう、スタッフ一同でサポートしていきたいと考えています。
膝の痛み
変形性膝関節症
症状
膝の上の骨と下の骨がこすれ合う表面を覆う軟骨(関節軟骨)が徐々にすり減ってくるために起こります。
原因
体質、年齢、女性、肥満、筋肉の弱さなど(下図)。
このようになると関節表面は滑らかではなくなり、動かすと互いに摩擦が生ずるようになります。
膝関節に炎症(痛む、熱を持つ、腫れる、水がたまるなど)が生じて膝関節症となるのです。
治療・予防
膝関節症は5年~10年と長い年月をかけて徐々に初期から中期、中期から末期へと進行してしまうこともあります。
適切な治療を行えば痛みはとれ、進行もせずにずっと平穏な日常生活を送ることは可能です。
膝関節症は生活習慣病の一つです。医療機関での治療とともに、自宅での生活の仕方、適切な運動、食事や自分で行う対処法が大切です。その中心となるのが運動(リハビリ)療法です。
運動(リハビリ)療法
運動と言ってももちろん、走ったり、屈伸したりする方法ではありません。穏やかに脚を上げたり、下ろしたり、痛くなく、誰でも簡単に行える方法です。この方法を行えば、まず2~3週間のうちにひざ関節症の痛みや腫れはとれていきます。その効果は抗炎症剤(痛み止め)や関節注射(ヒアルロン酸)などと同じかそれ以上であることは証明されています。そして、この運動療法を継続していけば徐々に下肢の筋肉や関節は強化されて、痛みが出にくくなる予防法にもなります。
関節症が進行してしまった末期関節症の方(O脚が著しい方)ではこの方法の有効性は低下します。それでも痛みは和らぎ、筋肉が強くなって脚がしっかりするなど、行って損はしません。
当院リハビリで、専門の理学療法士が直接やり方をご指導します。
この方法を行えばもう、お薬(抗炎症剤)や関節注射(ヒアルロン酸)はずっと少ないか、あるいはやらなくて済むようになります。
手術療法
このような治療でも治らない場合は手術治療も検討します。これには関節鏡(内視鏡)手術、高位脛骨骨切り術(骨を切って変形を矯正する)、人工膝関節置換術などがあります。
※日本整形外科学会整形外科シリーズ から画像をお借りしております。
腰の痛み
腰痛は、有訴率第1位の症状です。日本人の8割以上が生涯において腰痛を経験しています。
腰痛を起こす原因はさまざまなものがあります。
腰に由来するもの
- 成長に伴っておこるもの … 先天異常や側弯症、腰椎分離症など
- 加齢により生ずるもの … 変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変性すべり症など
- 外傷 … 腰椎骨折や脱臼など
- 感染によるもの … カリエスや化膿性脊椎炎など
- 腫瘍によるもの … 転位癌など
腰以外に由来するもの
- 血管の病気…解離性大動脈瘤など
- 泌尿器の病気…尿管結石など
- 婦人化の病気…子宮筋腫や子宮内膜症など
- 消化器の病気…胆嚢炎や十二指腸潰瘍など
- 腰以外の整形外科の病気…変形性股関節症など
- その他…身体表現性障害、統合失調症などの精神疾患や精神的なストレスによる心理的な原因による場合もあります。
診断
いろいろな原因があり、また病態により治療法が異なるため、正確な診断が重要です。必要に応じてX線(レントゲン)検査、MRI検査、血液・尿検査などを行います。
特に安静にしていても痛みが軽くならない、しだいに悪化する、発熱している、下肢がしびれたり力が入らない、尿漏れがするなどの症状を伴っている場合は、整形外科を受診されることをお勧めいたします。
治療
保存療法
内服薬、ブロック注射療法、コルセットなどの装具療法、牽引などの理学療法、リハビリテーションなど
手術療法
保存療法でも症状の改善がみられない場合は手術が必要になる場合もあります。
予防
腰痛で日常生活が制限されてしまうと体力が低下し、腰を支える筋力も衰え、また精神的にも落ち込むために、さらに腰痛がおきやすくなります。
悪循環を断ち切るためには、中腰にならないなど日常的姿勢に注意し、また腰の支持性を高めるための運動や体操を継続することをお勧めいたします。
当院ではリハビリセンターのスタッフと連携して運動療法などの指導を積極的に行っています。
腰痛でお悩みの方は是非ご相談ください。
関節リウマチ
関節内の滑膜という組織が異常増殖することにより、慢性の炎症を生じる疾患です。
進行すると関節が破壊され変形が生じます。
貧血や微熱、全身倦怠感などの全身症状を合併することもあります。
症状
両手、両足のゆびに腫れぼったさがでます。
朝起きたときに両手が動かしにくい事があります。(朝のこわばり)
症状は多彩で、人によっては大きな関節(膝、股関節など)に痛みを感じる事もあります。
原因
病態は、自己免疫疾患と考えられています。
遺伝的要因や細菌・ウイルスの感染などが考えられていますが、原因はまだ分かっていません。
診断
症状、採血検査、レントゲン検査などを合わせた診断基準に合わせて診断します。
「リウマチの血液検査(血清リウマトイド因子)が陽性」というのは診断基準の一つを満たすのみであり、この結果だけで関節リウマチと診断することはできません。
治療
関節リウマチでは早い段階での治療が大切です。
薬物療法…抗リウマチ剤、非ステロイド性消炎剤、ステロイド剤、免疫抑制剤、生物学的製剤などを用います。
骨粗鬆症
骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
日本には約1000万人以上の患者さまがいるといわれており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。
症状
骨粗鬆症になっても、痛みはありません。しかし、転ぶなどのちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。骨折が生じやすい部位は、せぼね(脊椎の圧迫骨折)、手首の骨(橈骨遠位端骨折)、太ももの付け根の骨(大腿骨頚部骨折)などです。
原因
からだの中の骨、新たに作られること(骨形成)と溶かして壊されること(骨吸収)を繰り返しています。骨粗鬆症は、このバランスが崩れることでおこり、骨がスカスカになってきます。骨粗鬆症は圧倒的に女性、特に閉経後の女性に多くみられ、女性ホルモンの減少や老化と関わりが深いと考えられています。
診断
診断は骨密度測定、レントゲン検査、採血などによって行います。
予防と治療
骨粗鬆症は予防が大切な病気です。
予防
- 転ばないように注意する
- カルシウムを十分にとる
- ビタミンD、ビタミンK、リン、マグネシウムをとる
- 適量のタンパク質をとる
- 禁煙し、アルコールは控えめにする
- 運動、日光浴をする
治療
内服薬や注射などによる治療を行います。骨折した場合は、それに応じた治療が必要です。
閉経後の女性には、整形外科医の定期的な検診をお勧めします。